1か月ほど時が経ちますが有機ELの量産化技術にめどがたったとしてJOLEDが設備投資に動き出したと新聞発表がありました。有機ELはそもそも日本の技術ですすめられましたが韓国企業にシェアを奪われました。そのシェアを取り戻すべく開発が行われてきた印刷方式は生産コストが現状の真空蒸着方式に比べて約4割下がります。蒸着方式は歩留まりが悪くパネル価格が下がらない為液晶テレビと比較しても有機ELテレビと値段の開きがあります。ソニー、パナソニックなど日本のELテレビを家電量販店で見かけますがパネルはLGのものを採用しております。

その昔、液晶テレビが庶民の手に届く価格まで下がった理由の一つに液晶の充填工程が革新的に変わった事がありました。従来はパネルを張り合わせてから真空チャンバー内で液晶を充填しておりましたがこの方式ですと時間ロスが大きく、設備も大きなものをつくるしかありませんでした。この充填工程を大きく変えたのが描画塗布技術の開発でした。プランジャー方式で液晶を計量しながら描画する画期的な塗布技術が開発された事で、液晶を塗布した後にパネルを貼り合わせる工程が可能になり真空装置が必要でなくなりました。設備コストを大きく下げ、量産スピードが圧倒的に上がった事で価格が下がり液晶テレビが急速に普及したのです。

過去において有機ELの開発は日本の大手メーカーが悪戦苦闘しながらチャレンジをしてきましたが、ことごとく失敗し疲弊しました。今はなき三洋電機も起死回生をねらい多くの年月をかけましたが夢と消えました。JOLEDが開発した印刷方式はELパネルの勢力地図をガラリと変える可能性があります。是非、この技術は海外に流出させないで頂きたいし国内メーカーの復活ののろしとなってほしいものです。