この様なタイトルはメガネ業界からバッシングを受けて大炎上になるかもしれません。パラダイムシフトが起こらない業界として考えてみたいと思います。

一時期メガネのディスカウントが流行となり新たに進出して名をあげた企業が出てきました。日本メーカーの薄いプラスチックレンズを入れても安く買える時代が到来した事は視力が悪い人にとっては吉報でした。牛乳瓶の底のような分厚いレンズをしていた時代に終焉を告げフレームからレンズがはみ出ないメガネが目指したものはファッション性や材質の多様性でした。デザインも色も様々でファッション性がすごく高まってきましたし、柔軟性がある素材を使うことで曲げても折れないメガネも登場しました。

これらの変化はレンズの進化が大きな要因になったと考えられます。レンズはガラス素材からプラスチック素材へ、度数がきついレンズでも薄く製造できる技術、境目のない遠近レンズ。つまり、レンズのイノベーションによってもたらされた変化でメガネ業界が成り立っていて、メガネメーカーはそれを取り込んで閉鎖的な枠組みを崩そうとしない、そのように見えます。ファッション性や柔軟性がある材質のメガネは一見目を引きますが、トータルバランスがいいとは言えません。木を見て森を見ずという言葉がありますが、レンズやフレーム、ファッションや素材、それぞれは良くなっているのかもしれませんが、最も重要な部品がなおざりになっています。それが意図的なのであればメガネの耐久性に直結しますので買い替え需要が早期に発生するので闇という言葉を使用しました。

その部品はクリングスです。ウエリントンメガネの様な樹脂で造られたものは除きますが、細いステンレス素材で造られたクリングスは鼻の部分でメガネを固定する部品でとても大切なパーツです。レンズやフレームがあってもこの小さな部品1つがなければメガネとし使えないのです。たかがクリングス、されどクリングスなのです。クリングスの材質はSUSを使用しており昔から変わりませんが、ファッションだからか今のものは細く長いものが多くなっております。メガネフレームが細くなり負荷の問題もあるやもしれませんが、昔は指でなかなか曲げて調整しにくいくらい硬い物でしたが、今のものは容易に曲げて調節できる様になりました。そのためSUSといえども折れたりする事も当然出てきます。

クリングスが折れると修理に出すことも出来ますが、業界での修理費は5000円以上かかります。なぜか一律なのです。店員さんからは新しいものに買い替えたほうがいいのでは、と買い替えを勧められます。そう言われ陳列棚に並んだ最新のデザインメガネを眺めるとまんざらでもない、恐らく多くの方が買い替えをするでしょう。何の違和感もない様に思えますが、修理費5000円以上かかるのは闇と言わざるを得ません。そもそも、クリングス1個の値段など数円か数十円と予想します。修理費が4000円ほど+送料の計算になりますので費用のほとんどが工賃と送料が占める計算になります。修理費が異常に高いので高度なテクニックが必要だと思いがちですが、クリングスの交換は誰にでもできる作業で接着は恐らく2液シリコンなどを使っているのでしょう。手っ取り早くは異なる材質でも使える瞬間接着剤でも問題はないかと思います。クリングスが簡単に手に入ればわずかなコストと手間でメガネは復活するのです。最悪なのは店によっては部品がないから修理もできないなどと購入者が知る由もない会社の都合を盾に買い替えを押し売りしてくる販売店もあります。まさに闇です。それではと、ネット通販の今の時代クリングスくらい販売しているだろうと探してみましたがどこにも見当たりません。何でもそろうAmazonでさえ販売していないのです。大量に量産されているはずのものが外部に流出しないものがこの世にあったのです。

その昔、体温計に水銀が使われていた当時人体に悪影響を及ぼすのでその代替品として電子体温計が誕生しました。水銀の体温計は、一度上がった水銀のレベルは振って下げていましたので、テーブルの角などに当てたり手から滑って飛んで行ったりして割れることがあり替えサイクルがある程度短かったのですが、電子体温計になると先ず破損することがほとんどなくなるため、買い替えサイクルが長期になります。しかし業界のもうけ主義より顧客の安全性と利便性を追求するのが企業のあり方だと思います。メガネ業界に対してはクリングスが原因でメガネの買い替えが起こる事が無いようにトータルデザインして頂きたい。